クリスマスおはなし会と末盛千枝子さんの講演

「今年さいごの「おはなし会」と、末盛千枝子さんの講演会があるから来ない?」と友だちから誘いがあった。一年間なんだかざわざわして、なかなか自分の時間が持てなかった。せめて「クリスマスのおはなし会」にはいきたいと思っていたので高速バスに乗って盛岡へ。

グリム童話やエリナー・ファージョン「マローンおばさん」などなど。6人がそれぞれの本をストーリーテリングで語ってくれるのだが、目で読むのと違って、なんと静かで満ち足りた時間だったろうか。それが終わると、みんなで県立美術館に向かった。末盛さんの講演には2時間ばかり間があった。コンビニで買ったおにぎりを食べ外でおしゃべりをした。交代で順番をとっていたので、戻るとずらりと長い行列ができていた。私達は先頭を陣取っていて、ラッキーなことに会場入りする末盛さんと会うことができた。末盛さんは友人のNさんに気づき満面の笑みで、「まあっ!」と驚きの声をあげ、本当にうれしそうにこう言った。「同じこと言ってるって、笑わないでね!」と。そこには10年間「3.11絵本プロジェクト」で培った友情と信頼が厚くにじみこんでいた。

父船越保武を語る末盛さんの言葉は、穏やかであたたかく、まっすぐだった。今年81歳だという。芸術家一家に生まれ育ち、様々なことを乗り越えてきた強さとやさしさ。賢さと品格。そんなものを自然にそなえもっている人の放つ気高さとやさしさがさらさらと注ぐような、すてきな講演だった。

その日、私はこころから思った。「今日はなんていい一日なのだ!」と。

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