佐野洋子「神も仏もありませぬ」

明けまして、おめでとうございます!

正月三が日があけ、静かな暮らしがもどってまいりました。雪がそらしらと降っています。

いつもならお正月気分を味わいながら、買ったばかりの新本をむさぼり読むのだけど、今年は本棚の中から選んだ本三冊。きのうは養老孟司「養老訓」。今日は佐野洋子「神も仏もありませぬ」そして明日は河合隼雄「対話する人間」を。

12月大きな書店に行き佐野洋子の新刊を見つけ大喜びで本をめくると、ていのいい写真と、もうすでに読んだことのある文の切り貼りで、こりゃ、サギも同然じゃないかとがっかりした。中身がないのである。コピーなのである。新しい発見もわくわく感もちっともない。佐野洋子の本さえ出せば売れるという出版界の現状がちらほら。それなら本棚の本をじっくり読みなおしたほうがましやと思ったのです。

「神も仏もありませぬ」は佐野洋子が63歳のときから65歳のときまでを書いたエッセイ。2003年に出ているので当時私は51か2。初老に向き合う女の心境の切実さが今ほどには分かっていなかった。本のいたるところにズキズキと迫るものがある。たとえばこんなこと・・・

核家族に、老人は支えきれないのだ。核家族は核分裂をおこす。分裂した核は族にはもどらないのだ。とか、腹から声を出せば、口先だけの声は出なくなる。浪波節が盛んだったころ、日本人の心はこうまで荒廃していなかったのではないか。とか。日本中死ぬまで現役、現役とマスゲームをやっているような気がする。ほとんどの人間は天才でもエリートでもない。意味なく生きても人は幸せなのだ。とか。

本に新聞の切り抜きがはさんであった。佐野洋子72歳乳がんのため死去。一度だけ、ご本人を見た。谷川俊太郎と結婚したばかりの頃で盛岡で二人のトークショウがあり、佐野洋子は少女のようにういういしかった。

 

カケスが庭に

あったかい日が続いたので、油断していたら

あらま、雪が。朝窓をあけると真っ白になっていました。師走も半ばになるんですものね。

 冷たいでしょうね。デイジーさん。でも、けなげにかおをあげています。

さて、初冬の庭はさいごまで踏ん張っていた楓の葉もみごとに落ちました。

アカゲラは毎朝くるのでめずらしくもないのですが、なんとアカゲラよりひとまわり大きなものが。ありゃ、なんだ?? と見ていると3羽も。それがあろうことかカケス。いくら田舎とはいえ、一応町中のはずなんだけど、鳥にとってはやはりド田舎なのでしょう。山も町もほぼ変わらずってところかな。

この日の朝はカケスが3羽に、アオゲラが2羽、アカゲラもきていたので、それはそれはなんともにぎやかな冬の朝になりました。

岩手ビッグブルズの読み聞かせ

岩手ビッグブルズの伴晃生選手と川島浩平選手が野田村保育所に来てくれました。

絵本「はなちゃんのはやあるきはやあるき」の読み聞かせを、沿岸部の保育所や幼稚園にしてくれてるのです。忙しい試合のあいまをぬって、防災の一役をとの熱い想いで。

園児さんたちは、大喜び。かっこいいお兄さんが語ってくれる「はなちゃんの」お話にそれはそれは熱心に聞き入っていました。

お話のあとは、お楽しみのバスケットボール。はじめて触れるバスケットボールに、パスやドリブルを教えてもらい、子どもたちは大奮闘。かっこいいふたりのお兄さんを、おいかけて、大歓声。若くて素敵なお兄さんたちにわれもわれもと抱きつくと、離れない。とくに女のコが。子どもは正直ですよね。(私もどさくさにまぎれて、サインもらっちゃいました)

岩手ビッグブルズの皆さん、ほんとうに、ありがとうございました。12月は久慈市でも、試合がありますね。

がんばってください!! 応援してまーす!!!

久慈市体育館 12月15、16日ですよ。 観に来てください!

「小さな幸せをひとつひとつ数える」末盛千枝子さんの本

末盛千枝子さんの新しい本がでました。冒頭「はじめに~絵本からの贈り物~」と題して、心惹かれるエッセイがあります。小さな子供にどんな絵本を見せたらいいのか、病気の人にどんな本を差しあげたらいいのか、私自身いつも迷っていることへのヒントがここに。

もう20年も前のことですが、盛岡の大通りに子どもの本の専門店「モモ」がありました。さわや書店さんが本店の隣につくった本屋さんです。そのモモさんには、東京から来たばかりの岩橋さんがいました。とても熱心で情熱をもって児童書の紹介をしていました。私はすぐに親しくなり、モモに行くのがとても楽しみでした。最初の詩集「よいお天気の日に」がちょうど出たばかりで、岩橋さんは挿絵のスズキコージさんの原画展を開いてくれました。はじめての朗読会も店内で催すことになったりして。そんなご縁があって、モモがなくなっても、ときどき岩橋さんを尋ねたりもしていました。去年の今頃かな、岩橋さんから電話があり、重い病気になって仕事を辞めることになったと告げられました。

一年たった秋のはじめ、電話での岩橋さんは気持ちが落ち込んでいました。なにもできない自分が情けなくあれこれ逡巡しているとき、友人から末盛さんの新しい本が送られてきました。すぐに読み通した私は「この本を岩橋さんに」と思いました。少しでも心がやわらぐのではと思ったのです。

盛岡の街に「モモ」という素敵な子どもの本屋さんがありました。ミヒャエル・エンデの「モモ」の中の時間どろぼうのこと、忘れてはいけませんよね。

北海道で地震に

9月6日未明北海道を大きな地震が襲った。その前日台風の影響で北海道JRは運休がつづき、旭川から函館についたのは夜中の12時を回っていた。ホテルに着いてやれやれと床についたのもつかの間、あの大きな地震。すぐ目の前は海。「津波が来る!!」と3.11がフラッシュバックしたが、スマホは津波の心配はないとあった。

停電と断水と交通網のストップで、頭にうかんだのはフエリー。フエリー場につくと長蛇の列で、また長時間待つことになった。ところが、ところがである。列の前の若者と後ろの若者と長時間一緒にいることで、すっかり仲良くなってしまった。

半日まって、なんとか乗船。

ひとりの若者は九州の端から電車を乗り継ぎ、北海道に着いたばかり。旅のあれこれをたくさん話してくれた。

もうひとりの若者は、モラトリアムだというが、感性が豊かで繊細で本もたくさん読んでいる好青年だった。

若者が元気だと、おじさんおばさんは、とても嬉しいのです!

今回の旅は、災難つづきでしたが、人に恵まれました。

大被害をうけた北海道の皆様に、心より、お見舞い申し上げます。

北三陸の短い夏

二日前までは、北三陸も暑い夏。きのうからめっきり気温が下がり、今日は朝から雨で長袖じゃないと肌寒いのです。

猛暑、酷暑の都会の皆さんには、心からお見舞い申し上げます。

7月のレクイエム・プロジェクトが終わりほっとしていた矢先、なんと三陸鉄道の中村社長さんからお電話をもらいました。観に来てくださっていたのです。

思いもかけず有り難いお言葉をいただきました。「走れ! 三陸鉄道」は、あの震災の時の想いを詩に託したものです。それ以上でもそれ以下でもなく。それが思いのほか「よかった!」といわれると、以外でびっくりで、嬉しいことでした。

ひと段落したところで、本屋さんです。この前は斎藤孝の新書「不機嫌は罪である」と村上春樹「ラオスにいったい何があるというんですか?」を。そして今回は内田樹先生の新しい新書を見つけました。「街場の憂国論」。養老先生の「半分生きて、半分死んでいる」もまたまた面白く読みました。知の巨人とはこのお二人のことですね。

「風のように」あの日を忘れない

レクイエム・プロジェクト北いわて2018

東日本大震災から7年。7年という歳月がくれた震災のときの詩。

あの日あの時あの悲しみの感覚が、時間が経過することで、ふと言葉になりました。「風のように」の詩ができたとき、ああ、歳月が書かせてくれたんだと、どこかの神様に感謝したい気持ちになりました。

詩のはじまりはこうです。とても直截です。

 すごく すごく くじけそうで こわれてしまいそう

  こおりついた 白い夜 見上げる星屑

新曲4曲、上田益先生のすばらしい曲を、ぜひご堪能ください。

5回目のレクイエムコンサートは、

 7月16日(月) アンバーホール 大ホール (久慈市)

  午後1時30分 開演 前売り1.500円 当日券2,000円

みなさん、お出かけくださいね!!

 

 

 

 

表れてクレタ島

 

絵本「やまのかいしゃ」復刊

こーんな大きなアスパラがなりました。ありがとね!アスパラさん。

アスパラもおわり、山菜もそろそろおわり。季節は梅雨へと早変わりしそう。

暑い日がつづいたかなと思いきや、昨日からまた寒くなって、雨です。その寒いなか、「3,11絵本プロジェクトいわて」の皆さんが野田村図書館にやってきました。楽しいゲーム、お遊び、そして絵本のおはなし会。

大型絵本「しりとりのすきなおおさま」や、おはなし「ちんころりん」などなど。とっても素敵なおはなしのお姉さんや、おばさまたち。それぞれが、趣向をこらし、子どもたちをおはなしの世界にぐっぐっとひきこむ。思い入れと情熱と本への愛情がミックスされて、とてもすてきな空間を与えてくれました。

さてさて、スズキコージさんの「やまのかいしゃ」が福音館書店から復刊。ひと月ほど前の新聞(毎日)でコージズキンの顔写真入り記事を読み、うわっ、うれしい!!と叫んでしまいました。大好きな絵本なので2冊持っていて、一冊は文庫に、一冊は仕事部屋に。?・?・?奇想天外なおはなしが多いコージズキンをなぜわけもなく好きなのか、ちょっと謎だったけど・・・

「ほげたさんがしでかすことは僕にとって生活の延長線にあること。突拍子もない話に見えて「生活絵本」 ーー子供の頃個性が強い大人がたくさんいて、そんな大人を眺めて育ったー」といってるんですね。あっ、そうか。おんなじかも。と納得。

そんな矢先、とうのご本人からお手紙が。「2018年6月23日~8月26日まで。茨城県天心記念五浦美術館で「スズキコージ大千世界宇宙大爆裂展」の案内がきました。お近くの方ぜひぜひ、壮大な絵とってもきれいな絵本の原画に触れてくださいね!

 

 

野田村の福豚

なんともせわしない冬の日々も終わり、庭には椿が咲いています。

おばあちゃんの骨折と入院。自分の体調とこれから先のできること、できないこと。人生の時間割を頭におくと、おのずと優先順位が決まってくるものです。時間はまってくれないのですよね。

ここ数年、椿を数本植えました。赤の椿は2年前から咲き、今年は白が初めて咲きました。なんとも清楚な色。今はまだ庭の手入れもできるけど、10年先のことを考えると、草花は多年草、樹木は手入れいらずで花が楽しめるものなどと漠然と選んでいるようなのです。

実際腱鞘炎で左手親指が力が入らず、右手親指もあやしくなってきたところ。年にはさからえんぞと、体の芯からそんなささやきが聴こえてきます。

さてさて、友人が「野田の副豚がうまいぞ」というので、村内に一つだけの肉屋さん(本業は別)に行って豚肉を買いました。おいしい! やわらかい!やみつきに。なにより村で作ったものを、村の人が買って食べる。お値段は格安。なんともありがたい地産地消ではありませんか。

村で作ったものを村で食べる。それって、いいな! いままで付加価値をつけて値を高くし都心にし送ることを良しとしてたけど、ちょっとちがうかもと考える副豚でした。

絵本「ゆき」「このゆきだるまだーれ?」

「おやこで絵本」

絵本って、たくさんあるから、どの絵本を? と迷ってしまうわよね。

そんな新米ママさんに、ちょっと先輩風をふかせて、絵本を紹介します。

寒い冬は絵本がいちばん。単純で明快なものがいちばんいいのよね。絵本のなかにすっと入って、にこっとしたり、そうだね、とうれしくなったり。雪の日は、親子でたのしく過ごせるといいですね!!

◎ジョン・バーニンガム作 谷川俊太郎 訳 「ゆき」

冨山房 バーニンガムちいさなえほんシリーズ

 さりげない語りと絵が、親子の日常をやさしくつつんで、そっと背中をおしてくれるようなそんな絵本ですよ。

◎岸田衿子・文 山脇百合子・絵 「このゆきだるま だーれ?」

福音館書店

 山脇さんの絵が魅力。何年たっても古くならない。子どもの目をやさしくつかみ、お話の世界につれていく。もちろん、詩人の岸田衿子さんのおはなしが、文句なくたのしいからなのですがね。

(さむい、雪だ、インフルだといっているうちに、きのうと今日の日差しは、ちょっと春っぽっくなっていました。だいぶ前に書いて更新できず、色あせちゃったけど。ま、いっか)