「秘密の花園」猪熊葉子訳

巣ごもりの合間にちょっと一息、盛岡の友だちを訪ねた。友人の部屋には信州の山の絵とバラの絵と仙台の友人の絵が飾られ、書棚には愛用の本がぎっしり入っていた。彼女は、若いときから文庫をやっていたので児童文学類の本はとんでもなくたくさん持っているのだが、その部屋にはいつもそばに置いておきたい特別な本が並べてあるのだ。

本棚の中段に詩の本が並んでいる。ときおり彼女に会いたくなるのは、文学の話と詩の話をしたくなるから。とことん込み入った話も彼女とならツーカーで楽しく話が弾む。そんな友がいることをほんとうに感謝したい。と常日頃思っているのだが、わたしのほうが一方的に彼女を頼ってばかりだと思っていたら、彼女の口からも同じ言葉がでた。「本のことを話せるひとがいて、ほんとによかったわ!」

さて、その日はもう一つ分かったことがあった。ふたりとも子どものとき一番好きだった本が「秘密の花園」F.H.バーネットだったのだ。「猪熊葉子の訳がすばらしいのよ」と言う。それで福音館書店の猪熊訳を借りてきた。超分厚いこれぞ本という重さ。ひさかたぶりに文学の匂いがぷんぷん濃厚な世界に浸る。それにくらべると今の本は省略しょうりゃくで、誰かがいっていたけど筋書きだけだなって。そうかもね、とおもう。

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